Tour de Molvccas 2.2 4th stage

9/21 Tour de Molvccas 第4ステージ 141km


のんびり起きて、のんびり朝食をとり、出発までのんびりする。
初めての快晴で、朝から気分が良い。

井の中の蛙、大海を知ってしまったが如く、心のどこかでハプニングを期待している自分がいる。
人間は本来、自分のエリアの中に自由を求める慎ましさを持っている。
しかし、外の人間、外の空気に触れた人間からすると、元が窮屈な洞窟のように感じてしまうらしい。

9:30に、またしてもファンライドイベントに召集されるが、結局行われず。
そのまま待ち惚けて、11:00にやっとレーススタート。

昨日と同じく、作戦はオープンに。
逃げでステージ優勝を狙う。
第1ステージの逆走で、多少のアップダウンはあるもののゴールまではど平坦なので、ジャイの逆転を狙うにはここでは難しい。
けど、何が起こるかわからないので、警戒をしていく。

スタートから打ち合う。
リーダーチームのst.georgeは、力をセーブしてあまり積極的には捕まえようとしない。
キナンの誰かが動くと、さすがに捕まえてくる。

20kmくらいで、各有力チームの5〜6人くらいが抜け出して、st.georgeも容認しようとしている。
しっかりと間が空いてから、先頭との速度差をつけてブリッヂをかけた。
後ろにst.george始め、数人にチェックされたものの、集団から抜け出しに成功。
15人の逃げになる。

差が開きすぎてもジャイの総合が危ぶまれるので、ローテーションが止まらない程度に流して、脚をセーブする。
st.georgeのやつも同じ考えのようだ。

62km地点のKOMでみんなが争い始めた。山岳ジャージ圏外でも、賞金が出るからである。
人数を減らしたいし、脚のレベルを確認する為に、KOMが終わってからみんなが脚を止めて、さらに登っているところでアタック。KOMだからって、必ず頂上に設置されている訳ではないのだ。これは世界共通。

マークされているので、誰がどれくらいでついてくるか確認する。
トレンガヌ、CCN、st.georgeはすぐに反応してきた。あと3人くらいが何とかついてきた感じ。
ゴールまで80km残しているので、まだ攻めない。12人に人数が減った。

CCNの選手はこの3日間で強いことが判明している。st.georgeはかなりもがける。トレンガヌは脚はありそうだが、スプリントがなさそうなので、自分と同じ様な動きをしてくるだろう。
そんな感じで各選手を観察して、動きを注意していく。

一時は6分半まで開き、さすがにジャイの順位も危ぶまれるので、つき位置。
何で牽かないんだと怒ってくる選手にはちゃんと説明するが、あまり納得はされない。
立場が逆なら自分もイラつくけど。

逃げを決めたい選手は綺麗にローテーションを回し、あまり差が開くと困る選手は後ろで待機している状態が続く。
ラスト25kmくらいから集団が一気に1分くらいまで差を縮めてきた。
すると、ローテーションの団結力がさらに強固なものになり、ペースアップが始まった。
st.georgeも回り出しているが、ステージを狙うように言われたのだろうか。
いずれにしろ、このままスプリントになだれ込まれては、苦戦しそうなので、どうしたものか。

1分〜40秒くらいの差で追いかけっこが続き、ラスト5kmの看板を確認。
これはギリギリ逃げ切れそうだなという空気が流れたところで、いよいよステージ優勝争いが始まった。

CCNが積極的に仕掛けてくる。
だが、みんなもCCNが強いと分かっているのか、まとまる。
みんな意識が前だけに集中している。

一瞬のミスが許されない駆け引きを続け、ラスト3km。
ついにCCNが抜け出した。全員お見合いする。
「これはGOだ!」と身体のどこかでシグナルが発せられ、自分史上最高のキレだった脊髄反射アタックで前を追う。

抜け出しに成功し、追いつく直前に後ろを確認すると、トレンガヌにチェックされていた。
ここで半端にお見合いをするよりかは、協調を促す動きでCCNをパスする。
ところが、トレンガヌがCCNの後ろで三味ったせいで、2人が見合った。

「行ける!」と、本能でアドレナリンの緊急放出が作動する。
だが理性が0.5秒くらい、ゴール前でタレるんじゃないか、捕まったらどうしよう、ここは落ち着いてスプリントで3位以内に入れば上出来ではなかろうか...と、脚を惑わせた。
いや、ここはALL or Nothing。1位じゃないと、勝たないと意味がないんです。
覚悟を決めた。

いける、北海道前に2分のCPを更新したし大丈夫だ、と自分の脚を信じて踏み続ける。
エアロポジションを取った時に、後ろが見えてしまった。
トレンガヌを振り切ったっCCNが猛追してきている。しかし、差は一定で変わらず、徐々に開いている様にも見える。奴もキツいのか、と判明。
「早く諦めろ〜!」と、後ろに念を送り続け、すぐに現れるはずのゴールラインを目で探し求める。

ペースも何も考えず、大臀筋と大腰筋の最大出力を爆発させる。

500m、最後のカーブを曲がると遂にゴールゲート、待ち構えるフォトグラファー、観客の黒だかりが目に入った。

キツいけど、脚からはまだまだパワーがみなぎってくる。
勝手に'12世界戦のジルベールと重ね合わせ、彼もこんな心境で舌を噛んでいたのだろうかと考える。


そんなこんなで、ゴール。


トマが真っ先に祝福にきて、喜んでくれた。
脚質、役割上、あまりゴール勝負に絡んでこなかった自分だが、月に一度のKINAN AACAカップでこなしてきた勝負の駆け引きが、ここで活きてきたな、とふと思った。


ヒゲ剃っておけばよかった。



表彰を受けて、今大会で一番ヤバかったセルフィニスト達の猛攻を潜り抜け、アンボンまで戻るためにフェリーへ乗り込む。


寝台があるが、物置のようにも見える。


ここまでのステージを走ってきた、セラム島。
無人島のような雰囲気だ。


今日は潮風に吹かれながらの昼食。
ある意味、ハプニングが起きた1日であった。
明日は忙しくなりそうだ

コメント

  1. 怒濤のレースレポありがとうございます!
    そしてUCIステージ優勝おめでとうございます!!!
    SNSで結果は流れておりましたが、色々何かと大変な地域でのレース故に映像で拝見すること能わず、現地の方々を非常に羨ましく思いました(*´Д`*)

    ヒゲはAACA第8戦でもはやされていたので、不都合がなければ別に良いのではないでしょうか?(*^o^*)

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    1. ありがとうございます。
      日本の公式戦でも優勝できるよう、頑張ります。

      ヒゲに関しては賛否両論頂戴いているので、なるべく剃っていく方針にしました。ただ、やはり面倒くさいのです。

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