7.3.17

一心同体

自転車愛好家諸賢、自転車を綺麗に整備されておられるだろうか?

すれ違うサイクリストでたまにお見受けするのが、手垢が擦り込まれたバーテープ、磨り減ったブレーキシューとブレーキ滓が涎跡のように見えるホイール、パキパキにヒビ割れたタイヤ、撥ねた泥やミミズが乾いて一体化されたフレーム...等々の自転車で、見るたびになんだか残念な気持ちになってしまう。
100km/hで走る車は線傷1つで大騒ぎなのに、こと自転車はぞんざいに扱われる事が多いようだ。
乗り込むことは良いのだが、◯◯万円もする下手したら車よりも高価で自分の命を預ける乗り物なのだから、もう少し綺麗に大切に扱って頂きたい。

どろどろに汚れたままにしていては、変速の調子が悪くなったり、どこからともなく異音がしたりと、何かしらの異常や問題は起こるべくして起こる場合がほとんどである。手をかければ期待に応えてくれるし、手を抜いていたらそれに泣かされるのは道理であり、全ては自分に返ってくる。
最近の自転車パーツは基本的に、きちんと整備・点検されていれば調子が悪くなったり壊れたりすることはない。

そして一番勿体無いのが、油と混ざり黒く変色した泥砂が浮き出て、踏む度にきちきちと悲鳴を上げているチェーンである。
もう想像しただけで、具合が悪くなってしまう。

チェーンを見ればその自転車の整備状況や汚れの溜まり具合が分かるが、チェーンが鳴きだしているのは言わば、すでに整備不良である。
自転車の要である駆動系は常に、クリーン、ウェット(oiled)、メインテインドでなければならない。
チェーンに限らず駆動系の汚れによるパワーロスというのは馬鹿にできず、一概に何ワットのロスと言い切れないが、明らかに洗車前後でギアが1枚2枚変わってくる。最近流行り出した特殊なオイルやパウダーコーティングなども、明確な差が認められるためにプロの現場でも使われ始めてきている。
またパワー伝達効率だけでなく、変速性能や耐久性にも大きな悪影響を与えるので、定期的に洗車するよう心掛けたい。

ただ毎日洗車するという訳にもいかないのが、正直なところ。
洗車をする目安としては、チェーンを捻るとシャリシャリしたり、コマの中のローラー部が周りづらい等の症状が出てきた時。
その時にはすでチェーンのオイルが抜けている状態だ。チェーンにオイルが必要なのは、ギアとの摩擦を軽減させる為ではなく、チェーン同士の摩擦を低減させる為。その為には、"ローラー部の中"にオイルが充填されている状態にしておく必要がある。


普段洗車時に使う道具とWAKO'Sケミカル類


各部位に汚れが溜まってきているのがわかる。


チェーンを捻れば「シャリシャリ」と気持ち悪い音と感触が伝わって来る。
ローラー部分を指で回すと、動きの悪さが如実にわかる。


中性洗剤を泡立てていく。重要なのは”泡”。


チェーン周りに手をつける前に、プーリーにこびり付いた塊を取っておく。
先にプーリーの汚れを落としておくことで、チェーンに汚れ移りしなくなる。
ディグリーザーには自転車の洗車に欠かせない、フィルタークリーナーを使用。
使用するブラシは、毛にある程度の硬さがあるものを。

フィルタークリーナーで各部位の汚れをしっかり落としていく。

チェーンはブラシで汚れを磨き落としていくというよりも、フィルタークリーナーをチェーン内部にしっかり浸透させるようにしていく。
スプロケットは裏側も丁寧に。


全体によくフィルタークリーナーを馴染ませたら、洗剤の泡を固めのスポンジで使って洗い流していく。
ポイントは片側から抑えながらチェーンを回すこと。
両側から抑えてしまうと、ローラー部が回らず、うまく洗浄できない。


駆動系を洗ったら、サドルから洗っていく。自転車の上部から下部に進んでいくように洗う。
冒頭でも述べたが、バーテープも洗うこと。
放っておくとバーテープに汗が染み込み、アルミバーの場合には汗に反応、腐食していき、盛り塩がされていく。


水で洗剤を自転車から洗い流したら、もう一度チェーンの洗浄に入る。
今度は水だけで、先程と同じように片側から抑えながらチェーンを回していく。
水気を拭き上げると...


写真だと分かりづらいが、ウエスには水だけがきれいに拭き取られている。
これでチェーン内部は綺麗に洗浄されたことがわかる。


次の工程に入ろう。
続いて使用するのは、ラスペネ。これは潤滑剤なのであるが、ただの潤滑剤ではない。
潤滑剤としての性能はもちろんだが、さらに水置換性の性質を持っていて、金属に付着している水分を弾き出してくれる。
この工程が非常に重要で、チェーンや可動部に水分が残っている状態で注油をしても、しっかりとオイルが乗らない症状に悩まされてしまう。
チェーンを洗ってオイルをたっぷり注したが、何だかオイル切れしているような抵抗や音を感じる、といった経験はお持ちではないだろうか。
それは水分がまだ残っている状態で注油したり、まだ汚れを落としきれていなかった為に、オイルがしっかり馴染んでいないという事が多い。



フィルタークリーナーで洗浄した各コンポーネントの可動部にラスペネを注油していく。
ブレーキは可動部だけに注油を。くれぐれもブレーキシューにかからないように。


もちろん、チェーンにも。
ラスペネをしっかり吹き付け、馴染ませてから、余計なオイルを拭き取る。


いよいよ、最終段階。最後の注油だ。
ラスペネによって水が除去されオイルが浸透しやすくなっている状態で、チェーンにはメインのチェーンオイルを注していく。

チェーンルブには”Speed”と”Power”があり、各々粘度が違う。
個人的な感覚としては、Speedはダイレクトな踏み心地と軽さが特徴で、Powerはチェーンが力をグッと受け止めてギアとガッチリと噛み合っていくようになる。
好みやに状況よって使い分けたり、はたまた2つを混ぜて使うという技まで存在する。
普段は純粋なSpeedのダイレクトな踏み心地感が好きで、こちらをチョイスする。

今まではいわゆる”ウェット系”や”パワー系”の粘度の高いオイルのカッチリ感が好みであったのだが、このWAKO'Sのチェーンルブを使用するようになってからは、この粘度の低めのオイルであるSpeedが好みになった。
他社との明確な差を感じて頂きたい。


さて、基準となるチェーンの繋ぎ目をスタート地点にして1コマずつ注していく。
ここでのポイントは、ローラー部の片側にオイルを注して、ローラー内部にオイルが回りやすくすること。1周したら反対側も。


注油し終わったら、余分なオイルを拭き取る。その際にも、ウエスを片側から押し当てることを忘れずに。
コマを回してみると、ずっとクルクルしていたくなるような気持ちのよい回り方をするはずだ。
手にもほとんど汚れがつかない。
これで一晩おけば内部までしっかりとオイルが浸透し、余計な油が揮発してベストな状態へ。

この洗車方法と注油方法だと、本当にオイル切れが起きない。
雨練や先のフィリピンでのスコールでも、油切れしてチェーンが鳴くことがなかった。


仕上げに、皆んな大好きバリアスコートで磨き上げる。


ビカビカになった自転車。


あゝ、その光り輝く機能美といったら...色気すら感じるではないか。
そのチェーンの艶やかさとしなやかさたるや、思わず手で触れたくなる衝動に駆られる程だ。
走り出せば、なんと心地の良い踏み出しと力が伝わっていく感覚であろうか。


フィルタークリーナーが余った場合は新聞紙等に吸わせて、各自治体の定める処分方法で処理したい。

また洗車の途中で気付いた気になる点は、早めに対処しておくこと。
自分で責任を持って間違いなく処理できるならば良いが、少しでも不安を覚えるならばショップへ持ち込み、きちんと整備して頂きたい。

今回はあくまで、洗車の1つの例として簡単に紹介させて頂いた。
もし身近に洗車も教えてくれるようなショップがあったら、そこで教えてもらうのも良いだろう。
そのようなショップが無ければ、洗車に関しての書籍などもあるので参考にしてみてはいかがだろうか。


また今週末3/11のキナンAACAカップにて、WAKO'Sニュートラルサービスを出展していただくようなので、ぜひ会場へお越しいただき、プロのメンテナンスを受けてみてはいかがだろうか。
ここでは書き記せてないノウハウや、まだまだ私達の知らない情報を聞かせてもらう事ができるかもしれない。
プロの技は見ているだけで、学べることがたくさんある。


昨年末にも和光ケミカル様より、洗車のレクチャーをしていただいた。
実施しながら洗車に関するロジックをご教授頂き、普段の洗車が一変した。

ぜひ今週末は長良川サービスセンターへKINAN AACA CUP(枠があれば会場にて当日エントリーも可)に参加、そしてWAKO'Sブースにてレクチャー等を受けて、ライド後の洗車に挑戦されてはいかがであろうか。

青き踏む
眩くなるたび
ヨネックス
春泥浴びて
いざ始まらん

株式会社和光ケミカル
WAKO'S

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