27.1.17

破 初心忘るべからず

とにかく最初に伝えたいのだが、これはマジで最高のフレームだと思う。

YONEX CARBONEX "HR"
HRとは"HighRigidity"、高剛性のことだそうな。

より

昨年末に南野メカから受け取ってからは、ホームセンターでよく見かける真っ赤なFサス付きのマウンテンバイク(いわゆるMTBルック車。見た目は似てるが性能や耐久性が競技用に比べると低い。悪路禁止等のシールが貼ってあったりする。)を両親にねだって買ってもらった時の気持ちを思い出してしまった。当時は嬉しすぎて毎日隅々までいじって磨いたり、行動半径がどんどん伸びて高尾山の山中を走り抜けたり、友達と裏山で千切り合うようなレースごっこをしたものである。...が如く、ポジションをいじり、熊野古道を走り込み、伊勢の山々で追い込んでいる最中である。

毎年の事ではあるが、やはり新しい機材を受け取るとテンションが上がるだけでなく、ありがたい感謝の気持ちと、原点に戻り新たな気持ちで今年も頑張ろうという気持ちが更にふつふつと湧いてくるものである。


そんなこんなで自転車に乗りペダルを回すと、すぐに感じるのは走行感の軽さ。
ここでの走行感の軽さというのは、そこまで重いギアを踏み込んでないのにスーッと前に進んでいく感覚。
脚から発生した踏力を、逃さないようにBB部がしっかり受け止めてクランクの円運動に変換し、チェーンの張力によってよれようとするリアホイールをチェーンステイがしっかり支えている感覚がしっかり伝わって来る。

硬い部分はかなり硬いのだが、フレーム全体がしなることによってペダリングロスを感じずに、脚をリズムに乗せやすくどんどん回してスピードを伸ばしていける。
脚がキツくなるところで、さらにギアもう1枚かける。アタック、スプリント等のハイパワーも受け止めて反応するキャパシティがある。
あらゆる場面で気持ちいい反応をしてくれるオールラウンドなフレーム。
リヤエンドからフロントフォークにかけて、下側の剛性がしっかりしている気がする。

このフレームの才能の1つに、振動吸収性、快適性が挙げられる。本当に疲れないフレームだ。
もちろん強度や距離を上げればその分は疲れるのだが、さらにもう10km、もう1時間、もうひともがき、ともう一段階頑張れる気になる。いくらでも乗っていられる気がするのである。
ずっと乗り込んできて、「疲れ果てて、もう脚が回らない」、「身体が重く感じる」となった記憶があまり無い。練習後も脚にこない、「また明日も頑張ろう。」という気分で終われる。

そして、コーナリング。
フロントフォークとフロント三角の剛性は高く感じるのに、変に突っ張ったりせずに、しっかりと地面を捉えて粘る感覚が伝わり、いくらでもバイクを倒せそうになる。実際、下りに対して苦手意識があったのだが、乗り換えてからかなり改善できるようになった。極めて安定した挙動なのである。
あえてフロント荷重を大きくして突っ込むと、”ググッ”とフレームのフロント三角とフロントフォークが粘って、路面を捉えてくれるのである。
タイヤがグリップを失いそうな辺りで、フレームが”しなる”ことによってサスペンションのような役割を果たし、自転車が暴れずにコントロールがしやすいようだ。
リア側では、主にシートステイが振動を吸収して路面追従を測っているように感じる。
やはり、あのチェーンステイとフォークの複雑な形状が効いているのだろうか。

またこの点が結構重要なのだが、”しなる”のだが思うようなラインを取れるし、平坦も真っ直ぐ進むのでストレスを感じさせない走りをしてくれる。

そしてフレーム重量、650g!
缶ジュース2本より軽いそうな...

何でもござれと、なんだか良いことばかり書いているが、本当にそう感じるのだから仕方がない。


 あることに気づくのだが、それはフレーム剛性に関してである。
力をしっかり受け止め〜と書いたが、恐らく今現在市場に流通しているロードフレームの中で、このフレームの剛性レベルはそこまで上位には入らないのではないかと思われる。実際、パッと乗っただけでフレームが”しなる”感じを覚える。もしかしたら人によってはそれが「柔らかい」と感じるのかもしれない。

だが乗り込んでゆくと、”HighRigidity”の名前の裏に隠されたこの”しなり”がこのフレームの肝であると気がつくのである。

フレーム剛性と書いたが、何を持ってロードバイクの剛性は良いと言われるのか、なかなか生身の人間の乗った感覚を数値化し言葉にするのが難しい。
よく「しなって進む」というが、なぜ鉄の塊のようなフレームよりも進む感じがあるのか。

ここで足掛け3年の歳月で考え出した、極端な例で想像していただきたい。先ほど踏力と言ったが、動作の似ている垂直跳びに置き換えて考えてみる。
要所を置き換えると、ペダルを踏む力→ジャンプで踏み切る力、フレーム→踏み切り板、自転車の推進力(仕事量)→ジャンプの高さと反復数(積算跳躍高)、とする。
よく言われるフレーム剛性の表し方の「柔らかい、しなる、硬い」を、「スポンジ、跳び箱の踏み切り板(以下、跳箱板)、鉄板」の踏み切り板に置き換えてみる。

それぞれの踏み切り板で10回ジャンプ、それから10秒間ジャンプをしてみる。

長くなりそうなのでまとめると、
・積算跳躍高(自転車において、どれくらい進んだか)
 10回:跳箱板>鉄板>スポンジ板
 10秒:鉄板≒跳箱板>スポンジ板
・疲労感
 跳箱板<鉄板<スポンジ板
・脚へのダメージ
 スポンジ板<跳箱板<鉄板
と、なるであろうか。

スポンジ板(柔らかいフレーム)は、力を吸収してしまうので思うように記録が出ない(進まない)。
跳箱板は少ない力で大きな力(より進む)に増幅することができる。ただ、反応性は鉄板に比べるとやや劣る。
鉄板は力をダイレクトに反応させる力を持っているが、大きな力を出すためには大きな力を出し続けなければいけない。疲れるのである。

同じ積算跳躍高を稼ぐ(同じだけ進む)には、跳箱板に比べるとスポンジ板は何回も跳ばなければならないし、鉄板も少しハードに感じる。
では、スタートして短時間の間で早く積算跳躍高を稼げる(加速度、スピード)が伸びるのはどれであろうか。そう、鉄板である。高さを稼ぐことは大変だが、時間当たりのジャンプの回数を増やせるので、スタート後の伸びと反応は鉄板が一番良い。
疲労感だが、少ない力で大きな力を出せる跳箱板は疲れにくい。一方、スポンジ板は姿勢を維持することにも力を使い、頑張った割にはあまり成果を出せない。
脚へのダメージ。もちろん、スポンジ板が一番少ないであろう。鉄板の上で何回もジャンプをしたら、それは脚が痛くなる。

ロードバイクにして考えると、パッと乗った感じで超高剛性のフレームは確かに速くて反応性が良くて軽く感じる。だが、乗っていくうちにどんどん進んで行く軽いバイクはある程度のしなりがあるフレームである傾向がある。もちろん好みや感じ方のレベルの違いはあるのだが。

剛性を求めるあまりに硬くしていくと、今度は疲労のしやすさに影響してくる。どんなに反応性の高い速いバイクがあっても、250kmの6時間といったレースにおいてはいかに脚をセーブするかという問題が関わってくるので、一概に剛性の高い方が良いとは言い切れない。
各社は振動吸収性を上げる、快適性を上げる等といった課題をフレーム設計で工夫をするのだが、得てして快適性を上げる(柔らかくする)ことは剛性を落とすことに直結する。

さらにフレーム剛性に関係してくる部分に、コーナリング性能がある。
自動車やモーターバイク、MTBにはサスペンションが付いていて、路面の凹凸に対してのタイヤの追従性を高め、安定した挙動を得ている。
しかし、走行するために無くてもよい部品を取っ払った形のロードバイクは、悪路等で自転車の挙動をコントロールするのがとても難しい。
よくあるのが高剛性のフレームでコーナリングすると、バイクが突っぱねてタイヤのグリップを失いやすく、腰高感が出て不安定に感じること。
ある程度の乗り味はジオメトリやポジションで変えられるのだが、限界がある。

効率の良い進むフレームにはしなりが必要だが、レースにおいてアタックやスプリントといった場面の為にも硬さも必要なのである。
更に"しなり"の中でも、硬くて反発の大きいものから柔らかくてしなりが大きいものまで様々である。そして人の脚力や感覚は千差万別、ペダリングスキルや脚質等で同じ剛性でも柔らかく感じたり硬く感じたりする。
ロードバイクは、その剛性のバランスがとても難しい。

CARBONEX HRは各部により役割を分けられているようだが、結果的にそれが総合的に絡み合い、フレームとしての性能が「高いレベルで何でもできる万能型」と、感じる所以ではないかと感じられるのである。

と、とりあえずこの辺で。

なお、垂直跳びの例はあくまで私の頭の中だけで繰り広げられた思考実験であり、実際に実施されれば異なる結果になる可能性があります。
あくまで、個人的な見解でフレーム剛性に対する主観的感覚を説明できればと思った次第です。
ご了承下さい。

つづく。急

YONEX
CARBONEX HR

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